「このオタクノリ、きっつー」
第一章は、正直に言えば苦痛だった。会話の意味も、その場のテンションも分からない。買ったから続けたい――ほぼ、それだけで読み進めていた。
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PERSONAL OBSERVATION / FIRST PLAYTHROUGH
初めて『STEINS;GATE ELITE』を遊んだ。序盤は苦痛だった。それでも最後には、あの苦痛ごともう一度体験したいと思った。これは攻略でも一般論でもなく、一人の管理人に実際に起きた感情の記録です。
SAFE — 具体的ネタバレなしTHE HONEST ANSWER
名前だけは知っていた。でも、内容も背景も知らなかった。
始めてすぐの感想は、「全然ノリとストーリーの意味についていけない」。人工衛星らしきものがビルへ突き刺さり、周囲から人が消え、主人公は痛々しい言葉をまくしたてる。何を覚えるべきかさえ分からなかった。
ネットで見かけた「後半で印象が変わる」「記憶を消してもう一度やりたい」という評判だけを頼りに、とにかく続けた。今だから美談にできる話ではない。第三章あたりまで、本当に自分に合わないかもしれないと思っていた。
「このオタクノリ、きっつーーーー」— 初見序盤の、偽りのない感想
01 / EMOTIONAL WORLD LINE
物語の出来事ではなく、私の受け取り方だけを並べています。ここは結末のネタバレなしです。
第一章は、正直に言えば苦痛だった。会話の意味も、その場のテンションも分からない。買ったから続けたい――ほぼ、それだけで読み進めていた。
感情:困惑 / 苦痛第二章で情報を集め、暗号を追い、現実に存在する技術や昔のネット文化が物語へ混ざり始めた。ここで初めて「調べる物語」として歯車が噛み合った。
感情:興味 / 懐かしさ過去へ干渉する怖さは、単に結果が変わることではない。自分の知らない自分の過去が存在すること。その感覚に気づいてから、軽い会話の背後が急に恐ろしくなった。
感情:不安 / 没入最初は邪魔だと思っていた日常とキャラクターの仮面。それが積み重なっていたからこそ、後半で失われるもの、守ろうとするものの重さが分かるようになった。
感情:理解 / 焦燥一度のクリアでは腑に落ちず、最初から読み返した。別の結末を辿り、TRUE ENDへ到達し、TIPSまで埋めた。序盤の違和感を確かめ直す時間さえ面白かった。
感情:納得 / 余韻最初の自分へ「いいから続けろ」と言いたい。でも、何も知らなかった自分の混乱も含めて作品だった。だから戻れない。もう一度、知らない状態で観測したい。
感情:喪失 / 感動THE TURNING POINT
科学の話、暗号、謎の機関、タイムトラベラーを名乗る存在。現実にもある固有名詞とフィクションが混ざり、登場人物が情報を集めて奔走する。ここから、私はようやく「次を知りたい」と思い始めた。
昔のネット文化を知っていたからこそ、懐かしさと胡散臭さを同時に味わえたのだと思う。当時のネットで触れた噂や空気の記憶まで、作品の材料になっていった。
序盤のノリを好きになったわけではない。謎を追う面白さが先に来て、痛々しさを「そういう日常」として流せるようになった。
02 / NO FALSE PROMISE
テンポ、会話、キャラクターのノリが最後まで合わない人もいる。序盤が退屈だった時間を、誰にでも取り返せるとは約束できない。
ただし、私の場合は回収された。しかも「序盤を削って早く進めればよかった」とは思わない形で返ってきた。日常の長さと鬱陶しさまで、後半の感情を支える元本になったからだ。
MY VERDICT序盤に費やした時間は、
後半で複利になって返ってきた。これは作品の万能な保証ではなく、管理人自身の観測結果。
03 / FOR FIRST-TIME OBSERVERS
未来を見せず、当時の自分が本当に欲しかった助言だけを残します。
冒頭の異変をすぐ理屈で理解しなくていい。「何かがおかしい」だけを持って進む。
ギャグとして流してもいい。そこに時間を使った事実だけが、あとで残る。
レトロPC、暗号、科学とネットの噂。この方向に興味が持てるかを一つの判断地点にする。
恒久的な取り返し不能はない。章ごとにセーブを分け、最初の結末までは自分で選ぶ。
04 / COMPLETE OBSERVATION
ここから先はTRUE ENDを含む完全ネタバレです。初見・プレイ中の人は開かないでください。
Dメールで変わるのは過去だけではない。岡部が知らないのに、周囲の人々にとっては確かに存在した時間が生まれる。自分が知らない「自分の過去」がある。それは、自分と連続しない自分が世界にいたということでもある。
α世界線から抜けるために、積み上げた改変を一つずつ戻していく。そのたびに、誰かにとって大切だった時間を否定する。タイムトラベルをしない方がいいという紅莉栖の言葉を、岡部は理屈ではなく骨身で理解していく。私はその客観的観測者として、怖さを追体験した。
最初は、オタク文化を面白おかしく茶化すための人格だと思っていた。だが最後には、誰にでもある日常の仮面――ペルソナの一つに見えた。岡部が仲間との関係を作り、恐怖から自分を守り、必要なときにはもう一度立ち上がるための人格だった。
だから後半でオタクノリがどうでもよくなること自体が怖かった。ノイズだと思っていたものが日常そのもので、それを失う危険が現実になったからだ。
TRUE ENDのあとに最初へ戻ると、屋上の出来事も、紅莉栖の言葉も、初回とはまるで違って見える。初見の私は、物語の記憶を持たない観測者として第一章へ置かれていた。
「記憶を消してここまで戻ってきたな」という言葉は、公式設定の説明ではなく、このサイトを作る私自身の読みだ。初回は意味が分からない。記憶がないのだから当然だ。すべてを観測して初めて、自分が何を見ていたのか分かる。その反転に気づいた瞬間、作品そのものに一杯食わされた。
デロリアンの代わりにDメールがあり、時間改変の中で仲間たちの問題と選択が描かれる。私は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』と『ペルソナ』シリーズを混ぜたような感触を持った。
もちろん、これは作品の公式な分類ではない。既存のSF、ネット文化、ジュブナイル群像劇を巧みに組み合わせ、自分の物語へ変えたマッシュアップとして受け取った、という個人的な感想だ。
AFTER THE OBSERVATION
あれほど早く終わってほしかった日常パートを、今は削ってはいけないと思っている。
私は最初から作品を信じていたわけではない。疑い、退屈し、何度も「本当に面白くなるのか」と確かめながら進んだ。その自分まで含めて、まんまと設計の中へ入っていた。
だから、これから始める人へ詳しい理由は言えない。ただ一言だけなら、当時の自分と同じ言葉を渡す。
「いいから、もう少しだけ読み進めろ」
05 / CHOOSE YOUR NEXT GATE